2025-05-16
イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまであなたがたに我慢ができようか。その子をここに、わたしのところに連れてきなさい」。(マタイによる福音書 17:17)
“You unbelieving and perverse generation,” Jesus replied, “how long shall I stay with you? How long shall I put up with you? Bring the boy here to me.”
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これは、子供が病気になった親がイエスの弟子に助けを求めたが、弟子では治せなかったので、イエスが自らその子供を助けに行こうとしたときのイエスの言葉です。
当時は、インドでは仏陀から500年がたち、中国でも孔子から500年がたち儒教を国教とする漢帝国が成立し、ヨーロッパではソクラテスから500年がたち、日本では秦の徐福の到来から300年たった銅鐸文化の時代だったが、すでにローマ帝国の成立から50年以上たっており、シーザーやクレオパトラの時代から30年たち、エルサレムはローマ帝国の支配下にあった。
ローマ帝国は、現代ヨーロッパにつながる人類の物質文明の開始を象徴する古代最大の帝国であり、イタリアやギリシアも支配し、当然、エルサレムを始めとするパレスチナのユダヤ人も、ローマ帝国の影響を受けていた。そのローマ帝国とユダヤ教が支配する2千年前の当時のパレスチナの風潮が、イエスの弟子たちにも反映していた。その神様の教えから遠ざかった人々をイエスが嘆いたのです。病気の子供を癒す霊能力が失われていたからです。
人類の歴史は、物質文明以前に霊的文明があったとされている。インドのバラモン教や中国の孔子・老子の教えは、霊的文明の延長上にあった。また、アブラハム以降のユダヤ教も、霊的文明の影響が濃厚だった。しかし、イエスの出現した2千年前には、物質的な文化の影響が世界中で濃厚になっていた。
日本でも、霊的文明の影響が濃厚だった自然重視の縄文時代が終わりを迎え、中国・秦の徐福が中国文化を持ち込み、稲作主体の弥生時代が加速されていた。(日本の皇室の先祖の出現も当時にまで遡れると考えられる。)
そういう、霊的文明から物質文明への転換が世界中で始まろうとしていた。聖書が今日でも、違和感なく読めるのは、背景に物質文明の影響が見られるからです。
物質文明は、人間の生活を快適にするが、精神を自然の中の霊性に向けるという精神的努力をしなくて済むので、人間は精神的に堕落することになった。インドでも精神的な仏教は廃れ、中国でも古代精神文明は忘れ去られることになる。今では、仏教も儒教も、その古代の精神性を維持しているのは日本だけだという状況です。キリスト教では、ヴァチカンが日本の皇室以上に長い期間、初期キリスト教の伝統を伝えているが、ローマ法王の霊能力は、ほとんど失われている。
2千年前に、物質文明が開始される頃、すでにイエスは「なんという不信仰な、曲った時代」だと嘆いたのです。
病気の癒しは、霊的能力によって行われるのが、霊的文明の特徴です。だから、霊能力に優れていたイエスは、病気の癒しを行えたのです。今でも、霊能力に優れた人間は、イギリス、ブラジル、フィリピンなどに出現し、心霊治療を行っている。日本でも明治時代以降、長南年恵、松下松蔵、塩谷信男、高塚光などが、霊的治療を行っていた。また、アメリカでは、霊能力の医療への効果が医学的に実証されている。まだ、霊的文明の影響は残っている。
このイエスの言葉は、人類が物質文明から、再び霊的文明に戻るべきことを意味している。神様への本当の信仰は、物質文明では生まれず、霊的な文明が必要だということです。
物質文明は、科学・技術の力によって、生活に快適性、快楽性、快感性をもたらすが、その基盤は脆弱であり、精神性や霊性をないがしろにするため、神様への本当の信仰は失われるのです。
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